モバイル赤道儀120%活用術!
このコーナーでは、マニュアルの中にはおさまりきらないモバイル赤道儀の活用術をご紹介します。TOAST Technologyスタッフによるさまざまな活用法から、掘り出し物の情報が見つかるかも?
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TOAST Pro(TP-2)専用微動架台Dish-2
モバイル赤道儀TOAST Proと三脚の間にセットし、繊細で微妙な極軸合わせ作業をスムーズに行える極軸合わせ専用微動架台「Dish-2」(TOAST Pro専用オプション)がいよいよ登場です。(※後継機TP-2でお使いになれます)
これまで、ほとんどの赤道儀用微動架台は、押し引きネジによるX-Y機構が採用されてきました。
機構が単純なため安価であり、またバックラッシュの影響がなく、重い赤道儀にも対応するというメリットがある一方、ヒンジ機構を必要とすることから、ガタつきのない堅牢なものとするためには、どうしても重く大型にならざるをえませんでした。また、ギアユニットを搭載した複数の回転軸で構成されるギアヘッドタイプも使われてきましたが、ギアを使う機構上どうしてもバックラッシュの影響を大きく受けてしまい、赤道儀の極軸合わせ用の微動架台としては、かなりイマイチな存在。他に選択肢が無いため仕方なく導入しているというユーザーが多いのも事実です。
TOAST Pro極軸合わせ専用微動架台「Dish-2」は、長年に渡って進化のなかった極軸合わせ用の微動架台に革新をもたらします。
パラレルメカニズムの採用により、水平面に配置された3つの伸縮軸を複合的に操作することで、上下左右、斜めと自在な動きが再現可能。ポーラファインダーの視野内にとらえた北極星をもとに、バックラッシュの影響を受けることなく自在な動きで移動操作を行い、正確に極軸合わせを行うことができます。
特殊な加工が施された操作ネジは、手袋をはめた状態でも容易に操作が可能。
ファースト操作ネジによる極軸合わせが完了したら、セカンド操作ネジで最後の微妙な合わせを行います。セカンド操作ネジは最終的に固定ネジとして機能するためシステム全体がしっかりと固定されます。
Dish-2にの調整範囲は、たとえば軸の1本を北または南の位置になるよう配置した場合、仰角方向で最大約15度内、東西方向は最大約8度の範囲で移動操作が可能です。最初にTOAST Proを載せた三脚ごと動かして、TOAST Proの極軸が北に向くよう大まかに設置します。次に、三脚の1本の脚を伸縮させながら、ポーラファインダーの視野内に北極星が見えるよう仰角を調整します。
Dish-2には、円形のDovetailシステムが採用されていますが、これは方位方向の粗動操作を兼ねるための工夫です。TOAST Proの極軸が北極星の方向を向くようにDish-2に差し込みクランプを固定します。
ポーラファインダーを覗きながらDish-2の3つの操作ネジを回しながらレチクル(指標)に合うよう、北極星の位置を追い込んで行きます。
パラレルメカニズムをもったDish-2は、3つの操作ネジを複合的に操作するため、最初は北極星が思うような方向に動いてくれないと感じ戸惑うかもしれません。これまで上下左右方向に動かすX-Y機構に慣れてきたユーザーは、特にそう感じるでしょう。しかし、何度か操作していれば直ぐに慣れてしまいます。
Dish-2は、3つの軸を複合的に操作することで、視野の中を縦横無尽に動かすことができます。なんとも不思議なその感覚に慣れてくると、極軸合わせがあっという間に行えるようになるはずです。多くの場合は、3つの軸うち2つの軸の操作だけで済んでしまいます。
極軸合わせ専用の微動架台「Dish-2」は、あらかじめ三脚設置の際にポーラファインダーの視野内に北極星を捉えておき、最後の微調整を正確に行う為のツールです。この点が従来の望遠鏡用微動架台とは大きく異なる部分です。
仰角方向で最大約15度内、東西方向は最大約8度の範囲で移動操作が可能ですので、ポーラファインダーの視野中心付近にあらかじめ北極星を大まかに導入しておけば、で正確な極軸合わせ作業においては過不足ありません。
パラレルメカニズムの採用により、軽量・コンパクト化された画期的な極軸合わせ専用微動架台「Dish-2」。
ポケットにはいるそのサイズと重さ、そして極上の操作感は、モバイル赤道儀による遠征撮影に、またひとつ小さな革命をもたらします。
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