K's Report!
このコーナーは、開発メンバーの知人の知人である「青年K」がモバイル赤道儀のテストを依頼され、その活用方法を探るべく展開した(時に無謀な)試行錯誤を記録したものです。これはあくまで青年Kの個人的な意見・感想ですのでご了承下さい。
TOAST Pro編 その30
2012年オーストラリア・ケアンズ皆既日食の旅
Part2・機材準備編
Is It Done?Hurry Up!
旅程が決まれば、あとは機材の選定の作業。
「何を撮りたいか?」を前提にして、手持ちの機材と自分の技量との相談。全てはここから始まる。場合によっては新規の機材を取り揃える必要があるかも。
今回の日食にあたり、以下のような構成を考えてみた。
- まずは静止画のクローズアップ。やはりコロナを含む全体を捉えたいので500mm前後の焦点距離を確保し、画質を優先したいのでデジタル一眼を使いたい。
今までは正直、撮れればいいや、くらいに思って臨んでいたけど、今回は段階露光をきっちりこなし、コロナの流線を描出したい。ここはBORG77EDⅡ+Canon EOS 50Dを。
迅速で精密なピント合わせを実現するため、LMFというマイクロフォーカサーを新たに購入。
赤道儀は当然「モバイル赤道儀TOAST Pro」のジンバルフォーク仕様。とてもシンプルな組み合わせで、来たるべき時の興奮の中での煩わしさを軽減したい。
- そして静止画の中望遠。海岸という前景を考え、また皆既時高度15度という低さを逆手に取り、印象深い画を残したい。
これにはリケノン50mm+Canon EOS Kiss X2(友人より強奪)を。50mmという焦点距離は高度と前景とのバランスを考えてのチョイス。
三脚固定撮影で、ブラケット機能を活かし、良いモノを狙う。
- 静止画の広角。地上を横切る月の影を狙いたい。また、目で見た感じの風景も残しておきたい。ニッコール12~24mm+Canon EOS Kiss X5(恩師より拝借)を。
ズームレンズは未確定の撮影地の状況の合わせて画角を選択出来るので便利。こちらも三脚固定撮影で、段階露光バリバリで臨む。
中望遠も広角もしっかりシャープな像を結ぶモノとしたい。小さな拡大率の中で「皆既中の太陽」というものがはっきり判別出来るようなレンズを選びたい。
- 動画。ビデオカメラ以外の手段で捉えてみたい。星を撮るときと同じような機材構成で実現出来そうと考え、決定。
今後のデジイチによる皆既日食時の動画特性もみてみたい。80㎜F5アクロマート+Canon EOS Kiss X4をあてがう。
テストに近いので、光学系には凝らなかった。吉と出るか凶と出るか?
これには、しっかりした追尾が必要なのでTOAST Proに搭載。
前夜からの撮影が出来るならば、極軸が合わせられるので、放っておいて他の撮影に専念出来る。
- 動画その2。撮影風景を捉えるモノ。帰国してから、ドタバタしている自分たちをオモシロオカシク鑑賞出来たらいいな~と考えてのこと。
コンパクトデジカメの動画機能を活かし、ちょっと離れた場所から自分たちを狙う。
以上、皆既中に作動しているカメラは合計5台を予定。カメラ毎にきちんと撮影計画を立てておかないと共倒れに成りかねない…。忙しくなりそうだ…。
それと、前夜の撮影にも備えておかねばならない。TOAST Proにとっては、こちらが本来のお仕事。77EDⅡ+「TOAST Pro」+ジンバルフォークユニットは、日食撮影とほぼ同様なシステムで臨めるだろう。
もう一台のTOAST Proは中望遠の並列同架でいってみようか。これなら失敗の可能性は限りなく低くなる。
問題があるとすれば、ジンバルフォークシステムだと高緯度の天体は捉えられないだろうということ。これには夜半過ぎに好条件となる大マゼラン星雲や小マゼラン星雲も含まれる。北天では撮影対象が無く、気にならなかった点が、ここ南天ではそうもいかない。
今までは北天を主戦場としてきたオレのTOAST Pro行脚。この先の製品展開に期待したいです。
※この記事は2012年12月に掲載されたものです。TOAST Proは、現行モデル「TP-2」に継承されました