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モバイル赤道儀 HOMETOAST Style PULSEさん海外遠征編

TOAST Style

Vol.13PULSEさん「私のTOAST Style」

南天の星空に憧れて

豪州の南天ツアーを始めて15年になる。ハレー彗星の頃には、奥日光などへの遠征をよくやっていたが、光害に埋もれた星空に辟易し始めていた。そして、興味は次第に見たことのない南天の星に移り始め、豪州の星空に憧れるようになった。

しかし異国の地への渡航には不安もあり、なかなか踏み切れなかったが、99年2月思い切って友人と二人、西豪州に出かけてみた。レンタカーを駆って走り回り、そこで見た本当の星空と南天の魅力的な星々にすっかり虜になった私達は、その後も豪州南天ツアーを毎年行っている。

「黄道光」
毎回のツアーで必ず見られる。日本では話に聞いただけだったので、最初はとても驚いた。対日照も見られる。
※ 写真は全てPULSEさんの作品ですが、写真と挿入部分の文章は必ずしも対応していません ※

その頃はまだ、銀塩写真の時代でそれなりの機材をトランクに入れると、25~30kgの装備になり結構な遠征になってしまった。レンズも標準だけでなく200~300mmクラスの明るい望遠も持ち込んだが、ガイド撮影を4日、5日と続けると疲れもたまり、昼間は昼間であちらこちらと走り回ったので、楽しくもハードな冒険的遠征だった。

また画質の向上を求め6×7を使い始めると、機材の重量は更に増した。またフィルムひとつとってもセキュリティのX線防御とか気を使うことも多く、現像が仕上がるまでの長い道のりは、楽しみな反面大変なものだった。

デジタル一眼の登場

何回かの豪州遠征によって、ある程度の収穫を得ると、単純にもっと星空観望を楽しみたいということになってきた。躍起になって、長時間のガイド撮影をしてきたものをラフなガイドで済ませるには広角レンズの利用が不可欠であった。その対象として、南天の天の川や星座たちがあったが、これらの撮影をノータッチガイドで行うことにすっかりはまってしまった。そして撮影中は、双眼鏡での南天観望である。いくら見ても見飽きない南天の星々の輝きは、言葉にならない。

「天の川」
いつもいつも素晴らしい南天の星空であるが、よく観察すると日によって透明感やヌケの良さには違いがある。
それは天の川の写真を撮ると分かる。つまり、暗黒帯や星の輝きに現れる。
「アルゴ船」
日本では見られない星たち。日本でいう冬の大三角は、夏の大Y字である。

そこにデジタル一眼の登場があった。目を見張るばかりの速写性と結果を即座に見られるという利便性、機材の簡素化とともにすぐに導入した。カメラの感度がよくなると、撮影時間も短くて済み、高性能な大型の機材は必要なくなった。

TOAST現わる

毎回の渡航の折り、飛行機に持ち込む機材等の重量が悩みの種であったが、西豪州は20kgという制限がありトランクを買い換えたりして、毎回24kgくらいに抑えるのに四苦八苦した。赤道儀も簡素化を図ったが、小型のものは信頼性に難があり、折角の遠征ということになるとなかなか機材を削ることが出来なかった。

そこにTOASTの存在を知り飛びついた。しかし、すぐに豪州に持ち込む自信がなかった。それでも、南天ツアーの楽しみの方向性が変わっていくうちにTOASTのテストを重ね、実用性・信頼性に自信を持ち3年前からTOASTオンリーで南天ツアーを楽しむようになった。

「大小マゼラン雲」
わが銀河系の伴星雲。これを見ると南半球にいることを自覚する

精度を落さずに赤道儀・三脚の簡素化が図れ、デジタル一眼との組み合わせにより飛躍的に装備の軽量化が図られた。今年も出かける予定であるが、カメラ一台・レンズ二本・TOAST・三脚で基本システムを組み、星空の写真撮影を楽しみながら、双眼鏡での南天観望を行っている。

重量制限に悩んだ遠征だったが、現在は全ての装備を詰め込んでも20kgで収まるようになっている。焦点距離の長いレンズで、じっくり狙ってみたい天体もあるが、いまのところは広角レンズでのお手軽撮影やタイムラプス撮影を楽しむようになっている。

年中行事化している南天ツアーであるが、毎回新しい発見がありまだ当分続きそう・・。デジタル一眼の登場、そしてTOASTのデビューが私達に南天ツアーの新しい形を示してくれたといえる。

「夜明け前」
南半球を最も意識できるときである。逆転した星座から、神話の世界は浮かび上がらない。
「沈むさそり座」
逆さになったさそり座が落ちていくさまは、実に雄大だ。

≪追 記≫

自宅用・国内遠征用・海外遠征用と機材を三組揃えていましたが、この海外遠征用として現在TOAST Proを使っています。いまのところ海外遠征では、広角一本に絞りF2.8/ISO1600/240sを基準にした撮影を楽しんでいます。

そして、その間は飽きるまで南天の星々と戯れます。初め西豪州パース方面に通いつめましたがパース直行便が無くなってしまった今は、ケアンズ方面に場所を移動しています。 天気の具合、特に湿度にかなりの差がありますが、ジェットスター便の都合のよい発着時刻、また程よい飛行時間に、ケアンズの優位性があります。ただし、緯度が少し低いのが残念です。

ステー付きのカメラ三脚にマンフロットのジュニアヘッドを載せ、TOAST Proをセット。円形ステージにベルボンの雲台でカメラを固定します。方向によっては、V型の金具を介して雲台を取り付ければ、全方向にカメラを向けることが出来ます。

西豪州では、自炊用具などを持ち込み自炊も楽しみました。最近は、TOASTのおかげで装備全体を簡素化することに努め、身軽になって出かけています。

「南十字付近」
南天の定番のショット。天の川の細かい暗黒帯などが分かる。
「南天日周運動」
夜空をまたぐように天の川が流れ、この光で地上に影が出来る。

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