Vol.11佐藤俊彦さん

3. 望遠レンズでの作例

（≪1からの続き）

望遠レンズはEF200mm F2.8L, EF70-200mm F2.8L II IS, EF300mm F4L ISと使ってきましたが、モバイル赤道儀TOASTにしろTOAST Proにしろ、これから天体写真を始めてみようというビギナーの方にお勧めしたいのは、単焦点のEF200mm F2.8Lです。

光学性能だけだったら最新の望遠ズームであるEF70-200mm F2.8L II ISがダントツですぐれているのですが、1490gもの重い重量のせいでよほどしっかりした足回りでないと必要な追尾性能が得られません。
その点700g台のこの単焦点レンズは敷居が低く、中古価格も安いのでとっつきやすいと思います。

ポータブル赤道儀で最もポピュラーな被写体は散光星雲だと思うのですが、この場合、LPS-P2などの光害カットフィルターを使うことも多いです。となると露出倍数が2倍かかりますので、F4スタートのEF300mm F4Lは苦しく、開放F値F2.8のレンズを使いたいところ。
そのためサンヨンの出番はなくなり、最近はひたすら望遠側は200mmまでの焦点距離を愛用しています。

4. 広角レンズでの作例

望遠レンズでのノータッチガイドは足回りの組み合わせで苦労しましたが、広角レンズによる天の川の撮影ではレンズ選びに苦労しました。なにしろ、どんなレンズを使っても周辺部の星像が伸びてしまうのです。
トキナー、シグマ、キャノンの、F2.8スタートの超広角ズームを全て使ってきましたが、満足できるものはひとつもありませんでした。

で、最後に目を付けたのがキャノンのEF14mm F2.8L II。
高価なレンズですが、それだけのことはありました。絞り開放でも周辺部で星が点像にびしっと写ってくれ、色乗りも抜群。いきおい撮影の楽しみが倍増し、星景写真も積極的に撮るようになりました。
また、それまでは周辺部の星像をごまかす意図もあり、プロソフトンAなどの拡散系フィルターを使っていたのですが、このレンズに乗り換えてからは全く使わなくなりました。
当たり前のことですが、星はシャープな点に写ってナンボ。びっしりと画面全体を埋め尽くす無数の星の美しさを、高性能な単焦点レンズを使って初めて認識できるようになったのです。

次に、レンズの光学性能を紹介しているサイトを紹介したいと思います。
海外のサイトでしたら、LensTip.com、Photozone, The-Digital-Picture.com、日本のサイトでしたらGANREFが知られています。特にLensTip.comでは、コマ収差と非点収差の実写画像が中央部・周辺部それぞれに紹介されており、非常に参考になりました。

悲しいかな、デジタル専用レンズではイメージサークルがぎりぎりに設計されているため、星を撮ると周辺部ではどの広角レンズでも大なり小なり流れてしまいます。
従って、フルサイズ用レンズをAPS-C機で使うのが無難です。広角レンズに限ったことではありませんが。
あと、シグマの魚眼レンズ10mm F2.8 EX DCはデジタル専用レンズですが、例外的に周辺部まで点像に写ってくれます。EF14mmと並んで愛用している、お気に入りのレンズです。

（ 3へ続く≫ ）