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モバイル赤道儀 HOMETOAST Style 佐藤俊彦さん

TOAST Style

Vol.11佐藤俊彦さん

5. TOASTスタイルの発展

≪2からの続き)

a. 撮影地探しの楽しみ

小型車(私の車は1300cc)に簡単に積めるポータブル赤道儀を手に入れてから、より理想的な撮影地探しの楽しみが新たに加わりました。

高校時代から山登りや渓流釣りが趣味だった私の当時の友は、国土地理院の1/25,000地形図。それこそ何十枚も買い集め、連日目を皿にして見入っていたものです。
今は国土地理院のウェブサイトで無料でそれらの地形図を閲覧できますし、ネット地図も各社かなり充実してきました。

これらに付け加えて最も役に立っているのがグーグルアース。
まだ新潟県は一部しか高解像度の画像で閲覧できませんが、これとくだんの地形図を用いてピンポイントで多くの場所を探してきました。
例えば、新潟県北部、旧朝日村から山北町にかけて棚田地帯が多く散在しているのですが、それらの場所は国内でもトップクラスの暗さを誇ります。

「村上市蒲萄近郊の棚田」
EOS60D改 + SIGMA 10mm
F2.8 FISHEYE (TOAST-Pro使用)

今年はネット上で、びんたんさんが考案したソフトによる、光害指数の計測がちょっとしたブームになりました。これらの場所の光害指数は1.5-1.7ですから、いかに暗いかがおわかりになるかと思います。

次に冬場の代替え地ですが、昨年までは福島県田村市の仙台平や桧山高原へ遠征していました。下の写真は、今は原発事故のため立ち入り禁止となってしまった桧山高原で撮影したもの。

「オリオン座核心部」
EOS40D改 + トキナー AT-X 300mm F2.8 (TOAST 使用)

海外での撮影は、今年7月に行ったマウイ島ハレアカラが最初でした。
天体写真を始めた動機である、究極の天の川を見ることの夢が叶い、本当に感激しました。
これからは、できれば毎年1度は海外遠征できたらいいなと考えています。グーグルアース上で、既に下見?は終えているのです。
例えば、インドネシアのブロモ山、コスタリカのアレナル火山などの山麓。火山星景を撮ってみたい。もちろんお供はTOAST Proです。

b. イロイロ星景

「星座の事典」沼澤茂美+脇屋奈々代著 ナツメ社を教科書とし、2年間でこの本で紹介されている天体の半分を撮り尽くしました。
しかし、最も感動を覚えるのはやはり天の川を見ているとき、撮っているときなのです。必然的に星景写真への興味も増していき、バラやひまわり畑などと天の川のコラボレーションを昨年から撮り始めました。
火山星景もそうですが、こちらの方のアイデアは汲んでも尽きないので、ライフワークとしてじっくり追求したいと思っています。

「加茂市冬鳥越スキーガーデンバラ園にて」
EOS40D改 + EF14mm F2.8L II (TOAST-Pro使用)
「村上市天蓋高原のひまわり畑にて」
EOS60D改 + EF14mm F2.8L II (TOAST-Pro使用)

c. フィルターワークの駆使

それなりに場数を踏んでくると、もっと淡い部分をあぶり出したい、もっと星雲のコントラストを上げたいという欲求が出てきます。
そこで2年前から導入したのが、IDASの光害カットフィルター(LPS-P2)です。
効果はてきめんですが、露出倍数が2倍ほどかかり、シャッターをより長く開けるか、ISOを倍に上げるかしなければいけないのが弱点。
ノータッチガイド命の私としては難しい部分もありました。
色も被るので、画像処理も手間暇かかりましたし。

そして、今年の夏からはついにLPS-V4を投入。
こちらは露出倍数が3倍かかる難物です。だけど、今年からあまり長焦点にこだわりがなくなり、70-100mmの中望遠の焦点距離が好みになってきました。この程度の焦点距離なら10分かそれ以上露出させても問題はないし、V4が使えるのではないかと。

まだ2回しか実戦では使っていないのですが、P2の倍くらい浮き出てくれます。やや色味が単調になるきらいはありますが、面白いですね。

「バラ星雲とコーン星雲」
EOS60D改+ EF100mm F2.8L IS MACRO (TOAST 使用) 
ISO1600, F2.8, 5分 (LPS-V4使用)
「ケフェウス座核心部」
EOS60D改 + EF70-200mm F2.8L IS II (70mm側・TOAST使用)
ISO1000, F2.8, 8分 (LPS-P2使用)

4へ続く≫

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